関東エスペラント大会、の『ことのはアムリラート』コラボイベントに行ってきました



こんにちは、岩沢つぐみです。

第67回関東エスペラント大会にて行われた『ことのはアムリラート』のコラボイベント枠(11:10〜17:00予定)に参加してきました。今回はそのレポート記事となります。ほとんど撮影していないので、画像はほぼないです。

「関東エスペラント大会」とは


▲第67回関東エスペラント大会の開催場所である豊洲文化センター「サブ・レクホール」(東京都江東区豊洲)

関東エスペラント連盟により毎年1回開催され、エスペランティスト(国際補助語であるエスペラント話者)の交流の場となっている行事になります。

冒頭で述べているとおり、今年で67回目の開催となります。一般財団法人日本エスペラント協会と、その紹介を受けた藤巻謙一氏(著書『はじめてのエスペラント』)が言語監修をしたゲーム『ことのはアムリラート』とのコラボイベントが今回の大会で開催されました。

着いた時間の関係で、前枠であるアジット氏(ネパール)の講演「Tertremo kaj Subtera akvo(地震と地下水)」の終盤を少しだけ公聴させていただきましたが、アジット氏がエスペラントで話し、まだ覚え始めたばかりの人向けでしょうか、日本語通訳もあり、敷居は高くなさそうでした。アジット氏の話は興味深そうな内容で、早く行けばよかったなと。

コラボイベント枠の参加者には、講演を行うJ-MENT氏自ら受付を行っていました。

『ことのはアムリラート』とは


sukerasparo(スケラスパーロ)のデビュー作にして代表作となるゲームになります。公式ホームページが『ことのはアムリラート』のホームページとなっています。本ブランド自体がエスペラントと深い関わりがあり(?)、甘い鯛(たい焼き)を意味するsukeraとsparoというエスペラントから成っています。

企画・ディレクションが『ソルフェージュ』の皆川浩治氏、シナリオが『カタハネ ―― An' call Belle ――』のJ-MENT氏、原画・キャラクターデザインが『白衣性恋愛症候群』の成瀬ちさと氏と、百合(恋愛ジャンルの一つ)好きには垂涎の作品となっています。

本作品ではエスペラントをベースにした「ユリアーモ」と呼ばれる言語が重要であり、主人公の「高遠凜」と共に勉強しながら物語を進めていくことになります。とは言っても、「挑戦したけど覚えられそうにない!」という人もいるでしょう。大丈夫! ストーリー中で出てきた「勉強モード」は、ストーリーとは別に「復習モード」で再勉強できますし、ストーリーに集中したい場合は「宿題モード」で後回しにすることもできます。まぁ、私は結局凜に「置いてけぼ凜」(詳しくはプレイしてね)にされましたが。

そのコンセプトが高く評価され、「萌えゲーアワード 2017年度」(18禁注意)にて、コンセプトデザイン賞を受賞しています。

現在はPC版の他、Android版、iOS版も発売しています。6/15まで、PCダウンロード版が20%引きで購入できます。興味ある人は是非!

J-MENTさんの講演会

さて、ここからが本題となります。最初はシナリオライターのJ-MENT氏の講演です。日本語で話をされたので、(まだ)苦しむことはありませんでした。講演会は11:30から約1時間行われました。

本公演では「『ことのはアムリラート』の成立とエスペラントについて」がメインテーマでした。

ライトノベルで流行している「異世界もの」では言語をすぐに理解することが多いが、アムリラートでは交流の根っこである「言葉」に焦点を当てたことが話されました。「あなたの″こ・と・の・は″……もっと、聴かせて」というキャッチコピーでもわかりますし、萌えゲーアワードでもやはり評価されています。

「訳がわからない言葉は気持ち悪い」「テキトーな言葉はリアリティより先にジョークになってしまう」ということでした。また、取っ掛かりさえあれば調べられ、それがゲーム性であるとのことでした。

藤巻氏に会いに行った際には他のエスペランティストと同乗することとなり、エスペラントが飛び交うこととなり異世界気分を味わったとのこと。エスペラント部分の添削を依頼した際には「半分合っていればいい」という思いでいたところ、9割ほどが赤だったそうです。

メーカーから「全くわからん」「これで大丈夫か」といった危惧も出たようですが、無事に発売。その後ゲームから本格的にエスペラントを学ぶ人が現れたのは想定外だったようです。

体験版時点では「全くわからん」という感想がSNS上に流れ、それが多く拡散されたらしく予約が殺到、全年齢ゲームにしては多く売れたそうです。

本ゲームの発売は、若い人の検定希望者が増えるなど日本のエスペラント界隈にも影響があったようで、日本エスペラント大会や先日の関西エスペラント大会にも招待される運びになったようです。

ユーザーの感想としてJ-MENT氏の印象に残ったのは、海外に行った体験を思い出したというものでした。海外旅行、海外留学。言葉が通じるか不安だった気持ちのことでしょう。

その他には他言語(英語やドイツ語など)では「異世界感」がなく駄目であったこと、ゲームは学ぶ敷居を下げること、きっかけは何でもいいが始めた人が楽しめることが大事だということ、ゲームがきっかけでエスペラントのサークル(広島大学 エスペラント研究会新潟大学エスペラント研究会等)ができたこと、低予算ゲームであったための苦悩、このような挑戦をデビュー作で行うことは本来「悪手」であることなどが語られました。

また、質疑の際に大きな夢を語ってくれた人が居ましたが、諸事情でSekreto(秘密)となります。正直、実現性は低そうですが、それでも実際に動こうとしているらしく、熱意が凄かったです。

分科会

13:30から1時間行われた分科会では「Kurso de Esperanto」(アムリラート関係のエスペラント講習会)に参加しました。アムリラート関係……で聞いたことのある言葉もありましたが、実質普通のエスペラント講習でした。講師は調布エスペラント会の山野氏。最初、日本エスペラント協会の理事長である鈴木氏によって入会キャンペーン(!)のお話もありました。驚くほどあっという間に終わりましたが。

エスペラントにも女性の既婚と未婚で変わる言葉があるのですが、英語で言う「Ms./Mrs.」のように統一する動きがあるようです。時代ですね。

エスペラントを多少なりとも勉強した人前提でしたが、全く知らないので苦労する……かと思いました。アルファベット(と言っていいのだろうか)の読みから丁寧に教えてくれたので、なんとかついていくことができました。偶然か必然か、名詞系の単語はoで終わることが多かったです。

講習では主にお店で使えるエスペラント語を勉強しました。英語がわかると読みや意味を推測できる言葉も所々にありました。何でもかんでも推測できるほど甘くはないですが。また、Dankon(ありがとう)やNe(いいえ)など、どちらかと言えばドイツ語に近そうなものもありました。

とはいえ、それほど理解できたわけでもない私が詳しい内容を説明しようとしてもチンプンカンプンになるのは目に見えているので、さらっと流します。

ゲーム仕立てのエスペラントの実践

さて、15:00〜17:00の最後のプログラムは、先の講習で苦しんだ人をJ-MENT氏が奈落に突き落とすためのプログラム(語弊)です。説明ではエスペラントを"身体で"おぼえてもらう講習会とのことでした。

アムリラートで登場した素材のエスペラントがプリントされたものとルカの絵がプリントされた紙幣(もちろん架空金銭)を使用して、買い物ゲームを行いました。二人一組で、エスペラントしか話さない人から(隠された)目当てのものを買う、というゲームでした。一人がメインでもう一人がサポートを行います。成功したら交代。

最初は諸事情でゲームを観覧する立場となりました。ナンテコッタ!

意味が全くわからないエスペラントがアチコチから聞こえて「???」でした。まず発音とアルファベットを関連付けることすらできないです。アムリラートで最初カタカナで読みにくいの、正解でしたね。理解できない感じがとてもよく実感でき、今なら最初からユリアーモで書かれるよりもそれっぽさを感じます。やはり講習では限界があった……。それでもクリアしている人がおり、列に並んでいる人が次々と移動しています。いや、レベル高すぎでしょ。

というより、講演会後に配られたナス(他にも色々あった模様)は何だったんでしょうか。訊いたら回収されました。

列に並んでいる人達は楽しそうに話していて……コミュ力高いですね。当然、アムリラートやユリアーモの話も聞こえてきましたし、カタハネの話などが聞こえてきました。

ということがあった後、(J-MENT氏曰く知り合いの)既にクリアした人にサポーターとなっていただきました。サポーターの方、鎖骨パッチを最近当てたんですって。もちろん私はエスペラントはチンプンカンプンで、panoがパンということは講習で覚えていたのですが、サポーターの方に助けられてヨーロッパの人はパン、日本人は? 日本人がそれを食べるときに使う物は? という流れで箸にたどり着きました。お陰でなんとかクリアすることができました。サポーターの方が居なければ全く答えにたどり着けなかったです。ほぼ全員終わってから体験させてくれたサポーターの方とエスペランティストの方には感謝です。Dankon!

と、午後は地獄の体験でしたが、それでも充実した時間を過ごしました。最後には急遽、J-MENT氏のサイン会になりました。色紙持ってきている人いて、その用意周到さに周囲の人は感嘆の声を漏らしていました。

Dankon!(ことのはアムリラートで最初にちゃんと覚えた言葉です)

以下、戦利品の写真です。グッズ販売が無かったのが悔しい……! 今ならクーポンがあるので通販行ってきます!



▲エスペラント実践で手に入れた「箸」のカード


▲『ことのはアムリラート』コラボイベント当選者特典の缶バッジ



▲エスペラント実践で使用した「紙幣」 裏面にJ-MENT氏のサイン


▲名札(どれか1つを選択) 凜が好きなので狸にした
他2枚は写真だけ撮らせていただきました Dankon!


※「J-MENTさんの講演会」のみ「さん」で他箇所は「氏」となっていますが、こちらは私が普段つける敬称が「氏」になりますが、プログラムは「さん」であったためになります。